まず大前提。
このゲームが思いっきり古いRPGであること。
日本人がデザインしたRPGではないこと。
このあたりは押さえておいてください。

DMとしてこのゲームをやり始めると、いくつか「どーすればいいんだろ?」という場面に遭遇するはずです。
その中の一つが各種能力値判定やセーヴィングスロー等の「難易度調整」です。

まず能力値判定についての解説をカンタンに。
「ある行為を行うにあたり、その行為が成功したかどうかをその行為に関連する能力値を基準に1d20して能力値以下(以下なのでピタリ値を含む)が出たかどうかで判定すること」
が能力値判定です。
ん?分かりにくい?そうですね、単に「1d20して能力値以下が出れば成功になる判定」としましょうか。
具体的な例でいうと「常識的な範囲をちょっと超える程度の重い物を数秒間持ち上げる」、といった「筋力を使う」行為を成功かどうか判断するのにストレングスの能力値以下を1d20で出せればオッケー、ということです。

コレの難易度の調整方法はダイス目にプラスやマイナスの修正値を加えることで行うのですが、なかなかどれぐらいのマイナスで「成功は絶望的」と言えるのかがルールブックの中には明言されていません。
完全に盲目状態での命中判定は「-4」しなさいと言う記述があるので、このあたりが落としどころなのかとも思いますが、これはあくまでも戦闘時の命中判定。
能力値判定の場合ちょっと違う気もしますね。
私の場合どうやって判断しているかというと、能力値の平均値が9.5であることを考えて、まず普通は成功し得ない修正を「-10」としています。
こう考えると「-5」という修正が相当難しいという判断ができるでしょうし、「-20」という修正であればどんな超人でも成功し得ないんだなぁと理解できると思います。
プラスの場合も同じ様な考え方でいいと思います。

更に加えて基本的な判定の際はd20ロールで1の目が出た場合常に成功し、20の目が出た場合は常に失敗するというルールにも影響を受けます。
つまり何が起こっても絶対に成功し得ないハズの行為であっても5%の確率で成功してしまうことがある、という事は忘れてはいけません。
例えば、見たことも無いような風景の中に放り込まれた冒険者は、記憶を頼りにココがどこなのかを知ろうとしますが、そもそも記憶の中に無いのでインテリジェンスのチェックを「-20」の修正を伴って行う事になりました。
「-20」と告げられることでプレイヤーは「あー、ココは始めての場所なんだな」と察することができるでしょう。
が、判定してみた結果「1」の目が出て、チェックに成功してしまいました。
こんな場合、どう処理をしたらいいのでしょう。
色々とパターンは考えられますが、一番使い勝手がいいのは、「君は極めて強い確信を持って、ココは完全に始めて訪れる場所なのだと思うことができた!」という風に逃げるやり方や「予知夢を見ていたことにする」といった所でしょうか。

またこれらの修正の付与はプレイヤーに対して明示して行う場合と、DM側だけで判断する場合に分かれます。
前者と後者の違いは、その修正が付与される状態をプレイヤーが知っているかどうか、ということです。
足場が沓一足分ほどの断崖をソロソロと、壁に張り付きながら進む際に「足場の岩には滑りやすいコケが生している」ということを知った上で進む場合はデクスタリティに「-2」程度の修正でプレイヤーに判定してもらいます。
このことを知らずに進んだ場合プレイヤーには通常のデクスタリティチェックをしてもらい、その上で「-3」の修正をDMが付与して判断します。この場合はプレイヤーは成功した!と思った場合でも滑落してしまう恐れがあります。
こういった判断を下す為にも、能力値判定では単に成功したか失敗したかではなく、その出目がいくつであったかも重要な成否判定の要素になることを覚えておいてください。 
インテリジェンス9のファイターとインテリジェンス18のマジックユーザーが共に「9」の目で記憶を手繰る判定を行った場合、ファイターは何とか覚えていたレベルなのに対して、マジックユーザーはそのことを鮮明に覚えている、といった具合です。

セーヴィングスローについても似たような感じではありますが、こちらは状況に応じて±5ぐらいまでで調整するぐらいが経験上良い塩梅になりますね。


で、 コレらの判定行為が何ゆえツラいと考えられるのか。

実はこういった状況の判断と回答を、セッション中にリアルタイムで流れを切らないように行わなければならないという ことなのです。
ちょっとした判定に修正を加える為だけに、一々ルールブックをを引っ張り出してきて確認していると、楽しいと思ってもらえるセッションの重要な要素である「テンポの良さ」が損なわれてしまうからなのです。 

でも、心配することはありません。

何度かセッションを行って、そういった判定行為に慣れてくれば自然と修正値を言い渡すことができます。
そして、場数を踏んだDMだって、その判断を誤ってふさわしくない修正値を与えるコトだってあるのです(失敗を顔には出さないかもしれませんが)

一旦こういった判断がスムーズにできるようになれば 、自転車に乗れるようになった人が乗り方を忘れないように、何年ものブランクの後であっても可能なはずです。

結論は前回のエントリーともかぶるのですが、とにかく「やってみること」です。
それも一度ではなく、何度も。
同じメンバーでセッション後に、どうすればよかったか、などのディスカッションができる環境があれば、それはもうです!

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